大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

聖母子と二天使 ウフィツィ美術館

フィリッポ・リッピは詐欺まがいのことをやって司直の手にかかったりしたこともあったが、プラートで尼僧ルクレツィア・ブーティをかどわかすという有名なスキャンダルを起こした。
メディチ家のコジモの尽力、時のローマ教皇の好意で、リッピとルクレツィアは還俗を許され、フィリッピーノ・リッピ(1457頃〜1504)が生まれている。
この「聖母子と二天使」はリッピの最も有名で優れた作品のひとつ。聖母はリッピの女性像の到達点を示すものとされている。一抹の憂いを含んだ表情、真珠の髪飾りや透明なヴェールの混じったかぶり物など、15世紀中葉の女性的エレガンスの極致とされる。弟子ボッティチェリもその影響を受け継いでいる。
背景の額縁の中に描かれた画中画のような、切り立った岩、山野のうねりや水辺の風景は、レオナルド・ダ・ヴィンチの先駆けとされているが、おそらくリッピがフランドル絵画をよく知っていたことを表している。フランドルの「世界風景」の考えはレオナルドにも伝わっている。
制作時期はモデルをルクレツィアとフィリッピーノと考える1457年頃とする説と1460年代半ばとする説がある。
1450年代
フィリッポ・リッピ Fra Filippo Lippi
聖母子と二天使
1457年頃 板 テンペラ 95×62cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1